～狂～

季節はずれの桜は
綺麗だけど
ちょっと怖い

葉っぱをむしりながら　君は言う
木は馬鹿だから　葉っぱがなくなると勘違いするんだ
ああ、もう冬で　そしたら春が来るのだと

笑いながら君は言う
また桜が咲くよ　君のために咲かせる桜
もう一度一緒に見よう

笑いながら葉っぱをむしる
何度だって咲かせて見せるよ
だから君はいつまでも見れるんだ

笑っているのに　なぜか泣いているようにも見えて

君は言う

次の春を待つ必要なんてないんだ
次の桜も次の次の桜も一緒に見るんだ
だから大丈夫
僕は魔法使いだから
医者の言っていることなんて嘘だって
僕が証明してみせる
君を死なせたりなんかしないんだ
だから笑ってよ
僕のために笑ってよ

私のために泣く君に　私は何も言えない