～星祭～

一本一本　願いをこめて結んだ願い糸は
今もあそこにあるのだろうか
今では遠い過去だというのに
この季節になるとふいに思い出す

幼すぎる想いは叶うことなく
ただひと時の熱に浮かれていただけの
可愛らしい恋心一つ

今から思えば空言も
耳から離れず　胸は弾み　頬を染めた
これが恋をしているのだと　喜んだ
思い出すと頬は緩むが
今ではもう　あのときのような温かさは胸にはなく
年をとったのだと　少し寂しさを覚える

あれほど鬱陶しかった秋霖さえも
今では心地よく心を洗い流す

あれほど待ち望んでいた星空も
今では心を脅かすことなくただ静かに瞬くだけ

今でも　貴方の言葉が全て嘘だとは思ってはいない
ただ素直なだけ　思っていたことを口にしていただけ
そう思えば　それは素敵な思い出になる

私の恋は過去になってしまったけれど
夜空に瞬くあの二星は
未だに星合を楽しみにしているのだろうか
ただ一年一度の逢瀬を
耐え続けることができるのだろうか

また願い糸を結んでみようか
空の二星が幸せであるようにと
五色の糸に願いをこめて